台南―高雄<2月26、27日>
ランタン第34,35号(2000年11、12月)

烏水頭から台南までは走りやすい道が続いた。
台南に着いて市内を見物した。時間があったので映画館
に入った。香港を舞台にした刑事物だった。
驚いたのは映画が始まる前中華民国国歌が流れ、観客が
起立して斉唱することだった。あまりに突然なことで私
たちは立ち上がる機会を逸し、数分間の間とても居心地
悪く座っていた。後に台湾人中年男性にその話をすると
「日本の映画館ではそんなことしませんか?それは確か
日本統治時代にできた習慣ですよ」と言った。また日本
語のクラスでその話をしたとき台湾の若い女性が、私た
ちが起立しなかったことに「よその国の国歌にもっと敬
意を示して欲しいと思います」と怒り出した。私たちは
なにも台湾に敬意を示したくなかったわけではない。そ
のときはただ思いがけなさすぎて、どうしていいのかわ
からなかっただけなのだ。
映画は中国語(国語つまり北京語)で話されていたが、
字幕は中国語と英語で二段に付いていた。読む目にはせ
わしなかったが、なるほどこのフレーズは英語でこうい
うのか、ということがちょっとわかっておもしろかった。
ホテルに帰ってテレビをつけると日本のドラマとして
「What's マイケル」をやっていた。あの漫画を読んで
いない人には、この踊る猫がかますボケをどうやって理
解できるだろうかと思った。なんだか文化が間違って伝
わりそうだ。
ついに台湾南部の大都市、高雄に入る日がやって来た。
また油条と豆乳で朝食をとり、車の多い道をひたすら南
に向けて走った。途中で私の故郷と同じ岡山という名前
の市に出くわしたので、記念写真を撮ろうとわざわざ岡
山駅に寄った。
近くに軍事施設でもあるのか、岡山駅には軍人が多くた
むろしており、軍人服務カウンターまで設置されていた。
軍隊を持たない国から来た私たちにとって、彼らはとて
も珍しい存在だった。ランポウがカウンターに立ってい
た若い軍人さんに一緒に写真を撮ってほしいと誘った。
直立不動で強持ての彼は私たちを警戒しているのではな
いかと思い私は心配していたのだが、予想に反して彼は
乗り気になりすぐにカウンターから出て来てくれた。ぴ
しっとした姿勢と一文字に結んだ唇は崩さずに、私たち
と売店のおじさんまで一緒に、カメラに収まってくれた
のだった。
途中、派手な中国カラーの竜の形をしたお寺が湖辺に建
つ、美しい湖蓮花潭に寄り、その後いろいろ道に迷いつ
つもなんとか高雄に到着した。日本語が話せる明るいフ
ロントマンがいるビジネスホテルを宿に選んだ。
ここに来て日本から高雄まで持って来た「ある用件」が
とても気になり始めた。その用件というのは・・・
(さよこ)

